お も か げ

あの夜、あの陰気な穴ぐらのようなバーのなかの光のすべてを、自分の周囲に光輪のように集中させて、鮮烈な魅力を放散させていた男ジョヴァンニの

3/28-31

3/28火
上野茂都の三味線ぷちライブ@喫茶モノコト~空き地~

上野茂都
新譜はバンドスタイルだけど、今回のライブは一人での三味線の弾き語り。前半~中盤の浪曲みたいなのは、これまでに見てる上野さんらしい曲だったけど、「型落ちブルース」「外食無情」みたいなクスクス笑える曲はあまりなく、印象に残ったのはイカの塩辛の曲のみ。展示している彫刻の話からの、美術大学で非常勤講師をやっているとか大学時代の教授のエピソードの方が面白かったです。最後の方は新譜より続けて「瓢之唄」「鶴と亀」など。「瓢之唄」はひょうたんは酒が入るとまっすぐ立つけど、人間はその逆といった内容。昔組んでた上野さんのバンド(つれれこ社中なのかな)での初ライブが高田渡さんの前座だったらしく、「瓢之唄」も渡さんに歌って欲しかったそう。モノマネっぽく少し歌ってたけど、確かに似合いそうな曲です。今回のぷちライブは10曲+アンコール1曲だったんで、本番は4/12@得三にて。
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3/29水
@KDハポン

tohoho
Gt+Voの人のギターがウクレレ位の大きさのミニギターになってて、やっぱり変なバンド。ギターソロもそれでするし。曲の印象はこれまでと変わらないけど、前から感じている上手くないメロディーの乗せ方が、昔対バンで見ている影響なせいもあると思うけど、タケヤリシュンタさんのようなアシッドフォークのメロディーの一部分だけ取り出して上手く組み立てていないように感じて、それでいてバンドの個性になってるのがすごく良い。曲中でシンバルしか使わない曲では、ツインドラム時代のスティーブジャクソンを思い出したりもしたし、すごく面白いバンドだと思います。

スティーブジャクソン
1曲目は「ミルクと牛乳」。濱田さんが最初の方から後半みたいなギター弾いてたけど、最後の方もちがう後半みたいなギターを弾く。次は「the end of 夏の終わり」。いつも通りな演奏だったかもしれないけど、鈴木さんのイントロのスネアの叩き方で、昔めっちゃ感動したことがある「R.F.G.T」のシンバルの叩き方を思い出して、同じ人が叩いてるんだな~と甦るものがあって良かったです。ヒジリさんのシンセは今日もよく鳴っている。次は「I Saw Her Standing Her Nowhere」。濱田さんはギターをワウとか使ってシンセっぽく鳴らす。この曲でそう感じたのは初めてかも。次は「Don't Trust Under 23」。シンセもギターもドラムもベースもカタルシスを感じさせる演奏。次は久しぶりな「ギター」。かなりアレンジが変わっていて、カッティング多めな濱田さんのギターはギターポップっぽく、金魚注意報みたいでもある。モモジさんのメロディーも少し変えてて、ちょっとtohohoっぽく上手くないメロディーの乗せ方。最後は「つめあと」。ここ最近のアレンジだと思うけど、濱田さんが途中でガガガッて連続で入るところで、スティーブジャクソンがNOBIROCKで四日市ケイオス出てた頃の「そっとわれにかえる」のドリルンベース位速く感じたモモジさんのベースを思い出したりもしました。

佐藤幸雄
最初に少しギターでループ作った後に、「ポップミュージック」。第一声の「ポ」の破裂音からして強烈な印象で始まる。その後も「説明」「きみのことすきじゃないんじゃない」「ここへきてはじめて」「ブルーカラー」など、力強い曲が並ぶ。一人での演奏なのにバンドみたいなテンション。車の曲での「動かない方に壊れている、止まらない方に壊れている」の言葉のセンスも本当に良い。最後の方にもう一回ギターのループを使用してたけど、小作品な音の鳴り方がMinus the Bearみたいにも思えて、それも良い印象。最後のDavid Bowie「Five Years」も原曲に近い日本語カバーっぽかったけど、佐藤さんらしさを感じさせる楽曲でした。アンコールは「役にたってる感じ」。
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3/31金
平日の習作@KDハポン

鈴木悦久
電子機材をテーブルに並べてノイズを鳴らす。最初の方はモスキート音みたいだったけど、すぐに激しい音に変わる。少しフレーズも散りばめられているようで、ライトニング・ボルトのベース音を思い浮かべる。そのノイズを長く続けて、途中からはmimiZでも使ってるカリンバを鳴らす。さっきまで鳴らしていたノイズ音はフェードアウトして最初のような薄いモスキート音に変わる。カリンバはループさせて使っていて、元々楽器自体の音も不思議な残響があるけど、ずらしたループでレイヤーを作っているように思えた。そのカリンバのループを継続させての、また激しめなノイズに戻す。この激しめなノイズが最初と同程度だったかは分からないけど、カリンバのループと同時に聞くとさっきよりも柔らかく聞けたんで、同じ音を流れの中での別の音に変化させる意図があったように感じられたのが良かったです。

やかんおきば
公園の西村さんによる一人芝居。精神病院?に入院しているコピーライターが一般社会に戻っても上手く行かず、競艇での当たり券を換金しようとしても偽造してるだろうと疑われて、駆け付けた警官と揉める。精神錯乱なせいか、換金額も最初1800万円だったのに、計算違いで実は180万になったのを落ち込んで、警官と揉めた後に更に18万だとに気付いて、たった18万の為にあんなことを、、、みたいな話。話には原作があって蛭子能収の「神経科のコピーライター」。後で原作を見せてもらったけど、設定も登場人物、台詞も原作のまま。西村さんの芝居の中では分からなかったけど、漫画の中では警官と揉めて、最後は警官の舌を引き抜くグロい絵柄。警官に抑えられている時の「放せよ!」の声がやけにリアルでした。

三宅ヤスコ
マシーンが占領している未来で、ヤスコさんはバスの中で怪しい人物(多分レジスタンス)を目撃した可能性があって取り調べられている設定。100年前にはバーチャルじゃない野良犬や猫がいたのなんて信じられる?といった世界観です。ヤスコさんと取り調べてるおじさんとの会話劇で話は進む。ヤスコさんはセイラ・ヤマノウエって人物で、取り調べのおじさんがミスター・スミスだったんで、最近のヤスコさんの芝居に出てくる時空刑事みたいな人物なのかと思ったけど、そうではなさそう。話の流れはなんとなく分かるけど、人物設定とか他の人物の絡み方が難しく色々混乱もする。途中で一度芝居はストップして、今回のイベントは習作がテーマなので、ここまでの芝居に対する意見(人物設定がわかりにくい等、モモジさんの意見だったのかな)をヤスコさんが読み上げる。その後、芝居の動き・声からヤスコさん私物のコンピュータに続きを決めてもらうことにする。ヤスコさんがレジスタンスなのかを「YES or NO」で質問すると、答えは「YES」。その後はヤスコさんが実はクローンだったか何かで初期化されて終わり。終演後、モモジさんに「NOの方の続きをしてたね」と言われて、ヤスコさんはテンション高く反省していました。

箕浦
最初は尺八とギターの音源を流して踊る。作ってる顔も含めて歌舞伎の女形な動き。その後は雅楽的な音で踊って、次に有名な歌人や詠み人知らず、新聞への投稿みたいな和歌を詠み出す。あらかじめ録音したロボット声での和歌も流してもらってて、自分の声とロボット声が重なった時は卒業式みたい。ロボの方に先に詠まれるみたいになってた時は面白かったです。その後もお客さんにも紙に書いた和歌をいくつか詠んでもらって、最後はプラネタリウムみたいな映像を流して、またその中で踊る。統一感がなく、あんまり焦点も分からなくて、こういうのこそ習作で、これからブラッシュアップしていくのかなと思いました。