お も か げ

あの夜、あの陰気な穴ぐらのようなバーのなかの光のすべてを、自分の周囲に光輪のように集中させて、鮮烈な魅力を放散させていた男ジョヴァンニの

6/8-10

6/8木
@得三

蠣崎未来
得三のステージが似合う声。音源を持ってないんで曲名は分からないけど、聞いたことのある自作曲(MCも大体いつもと同じような紹介)といくつかのカバーを披露。「Give me crazy love~」みたいな歌詞の短い英歌詞の曲は初めて聞く。最初の曲での、ゆっくりと永遠に続きそうなタイム感が印象的で、スローなテンポは蠣崎さんの歌の特徴のような気もするけど、1曲目に特にそれを感じました。途中で松沢さんをステージに上げてギターを弾いてもらっての、浅川マキさんの「それはスポットライトではない」のカバー。結構無茶振りっぽかった。松沢さんはギターを強くはじくように弾くので、すぐに思い浮かべたのは堀田ダチオさん。この後のステージが楽しみになる。

松沢春伸
1曲目は蠣崎さんもカバーしていた「Give me crazy love~」みたいな歌詞の曲で良い演出。その後は蠣崎さんと同じく、多分自作の曲とカバー曲が続く。やっぱりギターの強いフィンガーピッキングはダチオさんみたいで、あの奏法は曲に凸凹だったり傾斜みたいなものを付け加える感じがして、曲を自由な形に変えていけるのが良いな~と思ってしまう。声の印象は違っていて、元々松沢さんを気になるきっかけになった青木拓人さんに近いものを感じる。他にはブルースな要素もあったり、中盤に披露していた「夜の太陽」って曲でのいかがわしい雰囲気も良い。曲調にもバリエーションが出てきて、ニーナ・シモンのカバーで最高潮を迎える。ただし、演奏時間が60分位で、この後もまだまだ続くけど、前半と同じような曲が続いたり、またキラーチューンと呼べるような曲もなくて、飽きてしまった。今思うと蠣崎さんとステージ上がっての少しネタバレがあったんで、興味が長続きしなかったのかも。アンコールは蠣崎さんも参加しての「I Shall be released」みたいだと思ったけど違う曲で、「sing for you~」みたいなサビの曲。ニーナ・シモンのカバーまでは好印象だったので、山形の人なんで中々見れる機会は少ないかもしれないけど、また見てみたいとは思います。
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6/10土
かえる属の宴@きてみてや

コイケデリック・キノーシス・エレクトリック
古池さんと木下さんのDUOでの演奏。二人ともエフェクター・ルーパーなどを多用してのエレクトリックな音。そういう音も良かったけど、最初の方の木下さんが弾いたバイオリンの音の均一さや、古池さんのマウスピース付近だけでの吹き方の変化も良かったりと、生音での演奏でも魅力的。途中から木下さんはプリセットで入っていたチープなドラム音とキーボード音を流し出す。この時のビートは普通で、即興的な演奏なのに、分かりやすいビートを使うんだな~と思う。そのビートに対してどうアプローチするのかを考えるのが、更に即興的な演奏になるのかもしれないけど。次に鳴らしたビートはもう少し変なビートだったけど、ありそうなビートではあった。打楽器奏者ではないので、あんまりそういうものを期待するのは違うのかな。内橋和久さんのワークショップでの、リズムは演奏を縛る制限になるみたいな話を思い出す。後半の、木下さんの弓を寝かせての雑な演奏で聞かせる音も良かったです。ライブの展開に発展性はなくとも、音のユニークさで楽しめました。

かえる属+古池寿浩+西本さゆり
細馬さん木下さん二人のかえる属に、古池さんがトロンボ-ン、さゆりさんが歌とスネア、小物楽器で参加しての四人での演奏。ゲストで何曲か、ではなくずっと出突っ張り。1曲目は「音痴というもの」。ボサノバ調の曲で、すぐにカオリーニョ藤原さんをイメージする。きてみてやっていう場所と、歌詞の内容のせいだと思うけど。それ以降はカオリーニョさんの感じは全くなく、その1曲だけでした。セットリストには知っている曲が多く、改めて聞くと良い曲ばかり。「ふなずしの唄」「女刑事夢捜査」「SPアワー」「とんかつ岬」など。1曲1曲に付く解説も、さすがは教授なので話も上手い。今回購入した新譜「切符」からは「ドローン音頭」「手鞠歌」「城はキャッスル」。他にはブルーナイルの日本語カバーもあり。曲に絡むでもない古池さん単体の音がすごく良かったり、さゆりさんが単独で歌う時もあったりと、二人の役割も大きかったです。途中でさゆりさんが「この曲やりましょう」って提案してスネアを叩いたら、「音源通りですね」って細馬さんが言ってたんで割と自由な演奏でも良さそう(その曲は結局やらず)。最後は「やさしさに包まれた」「終点まで一駅」。「終点まで一駅」は細馬さんらしい表現なのにどこかロマンティックさを感じる歌詞ですごく好きになる。アンコールはこれも日本語カバーの「ラスト・クリスマス」。木下さんが一人でめっちゃ歌ってて、後半は感情入りすぎてねっとりとした歌い方になる。即興音楽家の人って変な人が多いな。古池さん、さゆりさんの何気ないコーラスも良かったです。で一旦落ち着いてからの最後は「あの寺へ帰りたい」。いくつかの曲は中尾さんがいないから出来ない、みたいな制限もあったので、この編成でも出来る曲もどんどん増やして欲しいです。